今日もバンバリー。今日はトリケラも一緒だったので、グイを預けて自分がたっぷり泳ぐことができた。こんなに長距離を泳いだのは生まれて初めて。全部あわせて200メートルくらいは泳いだかな。泳ぎ始めは無駄な力がはいっていて、力んでいる割には速くなくて全然進んでいない感じだったけれども、中盤にふっと体がやわらかくなって体の真中を軸にして、腕の動きに合わせてよく回転するような初めての感覚を味わって感動!!!リズムに乗れたときは、とってもいい気分だった。大人になると、若いときと違うスポーツの楽しみ方ができるのね。夏休みの二ヶ月間、ずっと子供3人と一緒だったので、トリケラに子供たちを任せて、自分の時間(といっても25メートルプールを何往復かするだけの間だけど)を持てて、体を動かすことができて爽快。

トリケラのラボのボス、カールの家族もバンバリ−に来ていた。誰かが、「引っ越すんだって聞いたけど」と声をかけたら、カールが「単なるうわさだよ」と答え、カールの奥さんのサラが「ちゃんと決まったことは、なにもないの」と。コールドスプリングハーバーで研究室を持っていて、家もHuntingtonに買っているのに、やりたい研究をするのに不自由するとなると、新しいところへ移って行ってしまうのね。素人のわたしの目から見ても、カールみたいなサイエンティストはかっこいいと思うし、たぶんトリケラもカールを目標にというか、少なくとも影響を受けている部分があると思う。("Hi."と挨拶したり、目が合っちゃったときに眉を吊り上げて親しみの感情を表したり、同意を求めたりするような仕草は、いつもカールのを見ているせいか、トリケラも真似ている。どうも無意識でやっているみたいだけど、日本人が日本人に向かってやると、はっきりいって不気味。)トリケラが来年に移る予定のDuke大学での仕事はテニュアトラック(tenure-track;終身的な身分につながるコース。テニュアトラックのあとにテニュアtenureを取れるとずっとその職に就いていられる)なので、長くいられるところで落ち着いていい研究をしてもらいたいという気持ち半分。残りの半分は、テニュアトラックが終わるくらいのタイミングでいい加減に日本に帰らせてもらいたいという気持ち。後者の場合、夢破れて帰るのではなく、テニュアトラックの間にドカンとでっかい仕事を成し遂げて、凱旋帰国したいってことなんだけどね。

周りのサイエンティストのカップルを見ていて、どこも奥さんがよくダンナに合わせてあげてるなと思う。ノルウェー出身のイングンは経済学の専門家で、できれば自分のリサーチをやりたいと言っていたけれども、現実にはロングアイランドにある数少ない大学を渡り歩いて、臨時雇いの教員をしている。以前はロングアイランド大学C. W. Postという私立大学で3クラス担当していて、それが国際経済や金融論など、自分の得意分野でないものを教えさせられて、自分が勉強しながら教えるのが大変だったみたい。今在籍している州立大学だと、授業の他にもいろいろな用事で拘束される割に給料は安い。7歳と3歳の男の子がいて、上の子は学校、下の子は保育園に通っているので、送り迎えや、休みの過ごし方に苦労している。ダンナ様のゴードンもとってもやさしい人で、子供の面倒をよく見ているみたいだけどね。夫がポスドク(Post Doctoral Fellow; 博士号を持っている研究員)で妻がテクニシャンとしてコールドスプリングハーバー(CSHL)で働くというパターンも非常に多い。テクニシャンは、普通の会社でいうなら一般職みたいな感じで、補助的な仕事をする。CSHLではテクニシャンの中にも3つくらいのランクがあって、試験管洗うような、素人にでもできる仕事から、ポスドクくらいの専門知識や技術を持っている人がやるような高度な仕事までをこなす。インドから来ているウマは、当時まだ2歳だった一人息子のカルティを連れてポスドクのダンナ様について来たはいいけれど、支給される給料だけでは生活がたいへん(この地域はとにかく賃貸の家賃が高いので)なので、理工学部卒の学歴を活かしてテクニシャンになった。テクニシャンはどうしても拘束される時間帯がある一方で、何もしなくてもいい時間もいくらかあるのか、テクニシャンをしている中国人のおばあちゃんやママさんなどが、こどものESLの送り迎えやESLの仲間とのお茶などによく顔を出す。カールの奥さんのサラだって、結婚前は経営学かなにかのマスターを取っていて、病院で、病院に入っているお金をいかに必要なところに効率的に分配するかってことを考えるような仕事をしていたそう。しばらくは実家のお父さんのビジネスを手伝っていたみたいだけど、この間話したときは、教員免許でもとってサイエンスを教えようかなと思っているようだった。わたしはノースキャロライナで、何をして過ごそうかなー。