地元のバレエ団の「くるみ割人形」を見てきた。子供の頃に、父がワシントン特派員だったために、3年ほどメリーランドに住んでいたことがあるけれども、その頃にテレビで「くるみ割人形」を見た思い出がある。おばさんの大きなスカートの中に子供達が隠れていて、スカートをめくってわーっと出てくるという演出がおもしろくて、妹弟と一緒に真似をして踊ったものだ。
 大人になってから劇場でバレエを見るのは初めてで、大人一人当たり25ドルのチケットなのにもかかわらず、音楽は生のオーケストラがつくと勘違いしまくって、すごく楽しみにしていた。会場に到着してみたら、ステージの両脇にでっかいスピーカーが。がっかりー。ふたを開けてみたら、家族、クラスメート、親戚、ご近所動員のバレエ発表会みたいなものだったけれども、唯一、雪の精の踊りをNYシティーでプリマを務める人が踊っていて、これには本当に感動した。舞う姿のどこにもすきがなくて、体重を感じさせない軽やかさ、首をすっと伸ばした姿勢はどんなふうに踊っていてもすらりとしていて、表情がとても美しかった。その他の人もみんな頑張っていて、まあまあ上手な人もいたけど、目線が低いなと思った。お客さんの顔を見ちゃっている感じで、そうすると、親近感が湧きすぎてしまうのよね。演じているのではなくて、現実の自分をひきずっているといえばいいかしら。生活感が出てしまうというか。雪の精の人は会場の外の空を見上げているように、目が遠くを見ていた。本当に雪の結晶のように軽やかだった。もううっとりしちゃった〜。
 こうなると、NYにいる間に、本格的なプロのバレエを見たくなってしまう。今日の様子では、子供と一緒に行くのは無理そうな感じだけど。