超がっかり

 二週連続のがっかり。ティラノの誕生日の祝いのつもりでバレエのチケットを購入していた。ノースキャロライナに行く前に、ニューヨークのよさを堪能しておこうというつもりだった。♪だのに〜なぜ〜♪歯をくいしばって、電車の駅まで15分歩いて行ったのはいいけど、電車が20分遅れ。時間に余裕をもって出かけたので、定刻よりも10分早く駅に到着していたから、駅で30分まつはめに。しかも、いつもは開いているあたたかい待合室が閉まっている。−8℃の中、ふきっさらし〜。スノーブーツではなくふつうの長靴をはいただけのティラノの足は、深い雪に踏み込んだ際に濡れてしまい、耐えがたい冷たさになってしまった。電車を待つ間にティラノはがたがた震えはじめ、「家に帰りたい。」せっかく一番たいへんなところを克服したのだし、電車に乗りさえすれば暖かいから、と説得を試みた。濡れた靴下をぬがせ、わたしの厚手の靴下をはかせ、かわいた運動靴に履き替え、大きくなったティラノをわたしのひざに抱えて暖めたりもした。けれども電車はなかなかこないし、1時間15分かかる道のりが、20分遅れて出発し、しかも徐行運転でマンハッタンについても、バレエの公演には間に合わないのではないかと、だんだん気持ちが悲観的になって、ついに諦める決心をした。
 グイを懐にぶら下げたトリケラが背中にティラノを背負い、わたしがスコミムスと一緒にえっちらおっちら歩いて帰った。男性陣よりも遅れて家に到着してみると、ティラノの目に涙が。「ククー」っと、押し殺したような、本当につらそうなうめき声。なんか、君は体脂肪が少なすぎるのか、寒さに弱いよね。死ぬんじゃないかと思ったほど寒かったらしい。実際、ホットカーペットの上に寝かせ、濡れた靴下を脱がせて手でこすっても、あしは全然温まらなかった。普段、冬の服装で学校に行くと、休み時間や体育の時間などにちょっと運動すると、十分に暖房の聞いた部屋では厚すぎてしまうことがよくあるので、ティラノは普段は薄着が好み。今日ばかりは、きちんとした装備でなかったので、辛い目にあってしまったね。誕生日のお祝いに「こんなひどい目」に会わなくてはならなかったのは、かわいそうだった。