「あなた達はおもちゃをぞんざいに扱うし、おもちゃをちゃんと片付けないので家が散らかってしょうがない。サンタさんにはお母さんが”もう来ないでください”ってお願いしておくから。クリスマスに期待しているとがっかりするよー」とどなり散らしていたけれども、サンタさんは(酔っ払っていたにもかかわらず?)来てくれた。ティラノはワニのぬいぐるみと本物のサメの歯の化石、スコミムスはシルバニアファミリーアメリカではCalico Critters)の家具のセットと白ウサギの母子のセット、グイはエレクトリックバイオリンをもらった。
 「ポケモンミズゴロウデッキをください」と書いたサンタさん宛ての手紙をクリスマスツリーに飾っていたティラノが、「要求」と違うプレゼントにどう反応するのか興味深かったけれども、サメの歯の化石には目を見張っていたし、「お願いしたのと違っていたけど、いいものもらった!」と嬉しそうだった。ティラノに感化されたスコミムスもポケモンカードをほしがっていたけれども、「シルバニアのほうがポケモンよりいいよね」と納得した様子。グイはもちろんエレクトリックバイオリンを使いこなせないので、バイオリンは他の人がおもしろがって弾いた。8曲もレパートリーがあるので、みんながボタンを押して、いろいろな曲を聴いてみたがる。
 トリケラは、サンタさんなんていないし、もうそろそろ子供もいないって思い始めているのに、みんなで互いをだましあってサンタさんがいる風を装うのに飽きたという。それはわかるんだけど、クリスマスになると好きなものを買ってもらえるのに「決まって」いるから、何でも「親に直接ねだればよい」というのでは、こちらはおもしろくない。わたしはあのだまし合いが楽しい。一生懸命、薄暗い地下室にプレゼントを隠しておいて、夜中に子供が寝入った後にツリーの足元にプレゼントを置く。親が早起きしてプレゼントを置いたと思われないように、当日の朝は目が覚めても、子供達よりも早くふとんから出るようなことは絶対にしない。今年は、ティラノまだ起きないかなーと様子をうかがおうとした瞬間に、ティラノがガバッと起き上がったので、目が合わないように慌てて目を閉じた。子供達がサンタさん宛てに書いた手紙は、封筒だけ残しておいて、中身は抜いておいた。こういうところが、うひひって感じで楽しいんだ〜。
 ティラノが生まれたときから思っているんだけど、クリスマスになると子供がおもちゃをもらうということにま〜ったく合理的な理由はない。イエスの誕生をキリスト教徒が祝うのはわかるけど。どちらかというと聖ニコラスがおもちゃをくれる不合理性がミソのような気が。こどもが好きで、喜ぶ顔がみたいからおもちゃをあげるという単純なものなのかな。アメリカのクリスマスプレゼントのあげ方は、あまりに合理的でいやになっちゃうことが多い。欲しいものを10個ほど列挙したWish Listを作って、その中のどれかをくださいってサンタさんにお願いするとか、「サンタのエルフ(小人)が見張っていて、悪いことをするとサンタに報告するからプレゼントがもらえなくなる」と子供のしつけの材料にするなど。Wish List制は親が与えたいものと子供が欲しいもののギャップを上手に埋めるやり方だけど、そんなにわりきれちゃうと、わたしはつまらない。
 今年はティラノは、クラスメートの影響もあるのだろう、サンタさんはお願いしたものを与えてくれるものと信じていた、あるいは信じていることを親に猛烈にアピールしていたので、プレゼント選びには苦労した。何枚あってもきりがないポケモンカードを、これ以上増やしたくなかった。妹をだまして、彼女のカードを取ったり、他のお友達とのトレードに使ってしまったりするので、親としては全然いい気がしないのだ。どうせ買ってあげるのだから、親としても納得のいくいいおもちゃを与えたい。結果的には、ティラノに関してはいいプレゼント選びができたように思う。彼はワニに名前をつけて、だっこして連れて歩いている。
 むしろスコミムスのほうが、ちょっと心配な感じ。おじいちゃんから、シルバニアファミリーの森のお家をいただいたけれども、家の中は空っぽだったので、家具をサンタさんからもらったら喜ぶに決まっていると思っていた。シルバニアのおもちゃがもらえて嬉しいことには違いがないけれども、どうやらティラノによる洗脳がかなりきつくて、ポケモンカードをもらえると本当に心から信じていたみたいで、ポケモンカードをもらえなかったことにショックを受けているように見受けられる。言葉では「ポケモンカードじゃなくてもいい」と言っているのに表情が違う。こういう、何かへんだ、自分が思うことと違っていることが起こったときに、スコミムスは自分の気持ちのほうを引っ込めてしまう傾向があるのが、親としては心配。この子がいい子になりすぎないようにするためには、どうしたらいいんだろう。