A家でのホームコンサートの本番。弾けていないパッセージをろくに練習することもできなかった。ま、バッハのバイオリンソナタは自分達の結婚式のときに披露した思い出のある曲で普段からよく弾いているし、「タイスの瞑想曲」も”旅に出ていた”、指使いなどが細かく書き込んである楽譜が見つかったので一安心。本番に楽しく弾けるといいな。
 プログラム1番はA家の3歳のお嬢さんAちゃんとお母さんのピアノ連弾、のはずだったけれども、非日常的な雰囲気の中、いきなり人前で演奏できなかったAちゃんは弾きたがらなかった。そこで、2番のはずだったスコミムスがトップバッターに。彼女は発表会に出るのは初めてではなかったので、「あら、わたしの番なの」という感じで素直に前に出てきてくれた。リハーサルもなく当日に全然楽器に触っていなかったので、最初に弾いたときにはミスってしまった。伴奏のお父さんが自分にあわせて演奏をしてくれないので「んー、ちょっと!」とすねる一幕も。やり直した後はまあ、よくできたかな。
 ティラノも準備不足の感あり、一番むずかしい箇所でコケてしまった。気を取り直して、同じところを繰り返し弾いたときにはちゃんと立て直した。「よく弾けたね」と誉めたら、本人はいくつかのミスがあったことがわかっているので「ぼく全然だめだったと思ったよ。」
 子供達が弾き終わったあと、うちのグイとAちゃん、スコミムスがかけずりまわる音が聞こえる中、バッハのソナタを弾いた。1楽章は緊張していて硬い演奏だったような気がするし、抜粋のために真中にもってきた短調の曲は、下手なので退屈な感じだったかな。3楽章は私も、ピアノを弾いていたトリケラもほぐれていて、よかったんじゃないかな。でも満足していたのは本人たちだけで、お客様には「この曲なが〜い」と感じられたかもしれない。
 私の二曲目はAさんに伴奏していただいた「タイスの瞑想曲」。ポジション移動がアヤシイので音程はずしまくりだったけど、ま、これは曲そのものの魅力でオッケーだったかなと思う。Aさんはこの合奏をとても喜んでくださった。
 A邸はとても広くて、大人しくしていられない小さい子たちがいても、演奏会が成立してしまった。会場を借りたりするとお金がかかって大騒ぎになってしまうけれども、こうして個人のお宅で簡単に演奏会ができてよかったなと思う。Aさんの社交術と行動力に負うところ大。日本にいらっしゃったときはオアシス(お花を活けるときにつかう緑のスポンジみたいなの)の会社にお勤めだったそうで、フラワーアレンジメントの先生もされるAさん。今はご自宅で、小規模ながら幼児対象の音楽教室を開いていらっしゃる。なんて多才なんでしょう。ありがとうございました、Aさん!!