グイの言葉の発達

 図書館の2歳児向けクラスの最終回。スピーチセラピストがゲストだった。会も終わりになろうかという頃になって、セラピストと話す順番が来た。
 「何か相談したいことがある?」と聞かれて、「この子は3番目の子で、格別に心配しているということはないけれども、二ヶ国語を両立させるのが大変だと感じている」という返事をした。この子のすぐ上の5歳になる娘、スコミムスは言葉が遅いように感じたけれども、グイはまだ2歳だし、そんなにしゃべれていなくても”まだ赤ちゃんに毛がはえた程度なんだから”言葉が少なくて心配ということはなかった。むしろ、「おかーちゃーん」「食べたいよー」なんてしっかり主張してくれちゃって、生意気=順調な発達、と理解していた。
 ところがセラピストが、この子が使いこなす言葉は何語かと尋ねるので、「さあ、日本語で10語、英語だったら、今日"No!"と言っているのを目撃したくらいかな」と答えたら、「それは少ない。もちろん幼児の発達にはいろいろと幅があるものだけれども300語くらいはほしいところ」とのこと。さ、さんびゃくですか?
 そこで、ふむー、本当にしゃべれる言葉(言われて理解できる言葉ではなくて、本人の口からでる言葉)は何語あるだろうかと振り返ってみることにした。
 2歳の誕生日を迎えたばかりの今の時点で、英語は8語。Hi! Hello! Yay! Uh-oh! No! Thank you! Bye-bye! Yummy!
 日本語は、まま、おかあちゃん、おとうたん、りょうたん、○○ちゃん(ティラノ)、△△ちゃん(スコミムス)、はい、あいやとう(有難う)、じゅーちゅ(ジュース)、かまご(たまご)、ちょうだい、たべう(食べる)、たべたいよー、おいちい(おいしい)、おもたい、ちゃむい(寒い)、あっち(熱い)、いたい、ねむい、だめー、かーいーねー(かわいい)、たんぽん(たんぽぽ)、じょーちゃん(象さん)、かば、かめ、ぐわっぐわっ(あひる)、わんわん(犬)、にゃおー(猫)、ぽぽたん(ぽぽちゃん)、みっぴー(ミッフィ−)、ちちぽー(アメリカのアニメ、64 Zoo Lane)、おっふお(お風呂)、くちゅ(くつ)、おむちゅ(おむつ)、あんちん(うんち)、ばいばい、しっちゅえい(失礼)、なあに(何?)、だいっちよ(大好きよ)、いく(行く)、ちょっと、はみやき(歯磨きまたは歯ブラシ)、おっちゃった(落ちちゃった)、とってよー(取ってよ)、あかない(履けない、開けられない)、みえない(見えない)、おかえいー(お帰りなさい)ちゃちぇい(シャッセイ)のざっと40語ほど。あら、意外としゃべれるのね。
 これだけ言えたら大したものじゃないの、と思うのは海外生活4年半で感覚が鈍っていて、同じ年頃の日本の子供と比べることもないせいなのかな。セラピストの人にはエバリュエーションを勧められてしまった。そして、「この子の年ならセラピストが自宅を訪問してセラピーを施してくれるわよ、無料で」という情報までついてきた。あら、この子は「治療」が必要なほど遅れているというわけですか〜。
 びっくりしたので、思わず反省して、ふだんより余計に絵本を読んだり、しらじらしくも「これは赤よー、これは黄色っていうのよー」なんて話し掛けてみたりしたけれども、あっという間に母子とも飽きて、疲れてしまった。スコミムスの迎えに行った際に、ESLのミセス・イテーヨに会えたので、キンダーガーテン入園時点でスコミムスは「入園のレベルに達していない」と言い切った彼女が、現在のスコミムスをどう見ているか聞いてみた。スコミムスが今でもまだ学年の中で遅れているほうならば、グイには早めに対策したほうがいいかなってことで。先生の見解ではスコミムスは全く問題がなく、ここ2,3週間はめきめきとおしゃべりになって見違えるようだという。2歳のグイに関しても、「こどもはそれぞれのペースで発達するのだから、もう少し様子をみればいいんじゃないの?まだ2歳になったばかりでしょう」という、彼女にしては温和な反応が返ってきた。