月曜日に退院した!グイの怪我のために、子供たちとばらばらに生活するのも、親や夫に負担をかけるのもつらかったし、妹のいる松本旅行がおじゃんになってしまったのも残念だったけれども、いいこともなかったわけではない。
 四人部屋の隣のベッドに長期入院していたYくんとの出会い。まだ1歳10ヶ月の彼は、生後8ヶ月のときにかかった病気のためにほとんど聞こえなくなってしまったそう。ばい菌をやっつけるために、毎日3度の抗生剤の点滴と耳鼻科の診察、それに言語のトレーニングを8週間にわたってうけていた。点滴する量があまりにも多くて、しばらくすると点滴がおちなくなってしまう、だから左手の次は右手に針をさし、手もだめとなると足にさしかえていた(点滴の針は太くて、さすときにとってもいたい。しかも子供の血管はよくみえないから、ちゃんとした場所にさすのがむずかしい)。Yくんは聞こえがわるいために言葉の発達が遅れ気味。退院するときに一緒に数えたら、彼が話せる言葉は20語程度だった。2歳になると反抗期がはじまるから、親のいうことを聞く今のうちに、言葉が出るようにしなくてはならない、という言語の先生の指導で、なるべく日常の挨拶の言葉とか、「ちょうだい」とかを、しぐさではなく口で言うように仕向けていた。お母さんは8週間の入院にずっとつきそっていたわけだけど、8週間だけでも長いのに、実は8週間の入院が今年2回目なのだそう。それなのに、彼女はいつもニコニコして、病院のルールをきちんと守って、健気に入院生活を送っていた。わたしはアメリカに戻らなくてはならないと思うだけで絶望的な気分になってしまうけれども、あんなにつらい境遇になっていても笑顔を絶やさずに生きている立派な母子に出会ってしまうと、子供たちが健康なだけでもありがたいじゃないかと考え直させられる。
 グイは、先週の月曜日に、ギプスをみぞおちから左足首にかけて巻いていただいた。腰が曲げられない不自由な姿勢だ。家に帰ったら、病院の柵付のベッドの上にいたのと同様にふとんでおとなしく寝転がっているものと思っていたら、なんと片足を引きずりながら、家の中をハイハイで移動してしまう。寝返りもうつし、半身が拘束されている割には自由な感じだ。こどもってすごいな。