きのうにひき続きインフルエンザ予防接種

 クリニックに電話して、ほかの人のインフルエンザ予防接種のキャンセルがなかったか、今日のティラノの予約はちゃんと取れているかを確認した。スコミムスに転用したためになくなってしまったグイの分を取り戻すことはできないものの、ティラノの予約はちゃんと入っていたので、午後から、学校が休みで一日中家にいて退屈している子供たちを連れてクリニックへ出かけた。
 クリニックに到着すると、入り口のドアに「インフルエンザ・クリニック、土曜日の9時〜12時。すぐに予約しよう!」との張り紙。ワクチンがないといって、うちの子の予防接種をとりあげておいて、ありゃあなんだい。怒ると体と美容によくないと思って(怒らない、怒らない。怒ると損するのは自分)と心に言い聞かせるものの、やっぱりムカツク〜。このトラブルのもとになった受け付け嬢が今日もデスクに座っているので、とてもハローという気持ちになれず、ぶっきらぼうに名を名乗った。あ〜、アンタとは口をきくのもイヤ。
 ほどなくして注射担当の、きのうとは別の看護師さんに案内されて処置室へ。「おかあさんにしがみついていいから、注射針を見ないようにして」と言うのに、ティラノは差し出した左腕を凝視。「いた!」といって肩を動かしたりなんかして、看護師さんに"You moved!"といさめられた。
 この後の展開が感動ものだった。「あなたの子、もう一人分のファイルがあったような気がするけど・・・。」そう、もともと今日は二人分の予約を入れてあって、昨日音声応答システムの電話でグイの予約の確認があったときに、本当はすでに受け付けで予約がキャンセルされていたのにもかかわらず、相手が機械だし、腹立ちまぎれに予約のコンファームをしていた。だから、自動的にカルテが看護師さんのほうに回っていたのだ。でも別の書類の、正確な今日の予防接種者のリストにグイの名前が載っていなかったので、看護師さんも「ああ、違ったわ。やっぱり一人しか接種しないのね」と納得した。
 がまんしつつもまだ腹が立っていたわたしは、本当は3人分の予約をいれていたのに、グイが予防接種できなくなってしまった経緯を説明した。愚痴っぽくね。そうしたら、看護師さんは予約をキャンセルした人がいないかチェックしたり、残ったワクチンの分量と、今日接種する人に必要な量を計算してどうにかグイに余りを回せないかと画策しはじめてくれたのだ!それまで、わたしは「これだからアメリカっていやだ。いい加減なんだもん。もう日本に帰りたい!」を心の中で繰り返していたのに、「時々だけど、アメリカだとこういう素晴らしい人に出会えるよね」と大感激モード。
 ワクチンの分量がグイにまわせるだけ十分にあることがわかり、書類上の手続きを整えるために一旦退室した彼女は「だめだって言われてしまったわ。4歳以上の子でないといけないって」と暗い表情で戻ってきた。「ごめんなさい、精一杯やれるだけのことをやったんだけど。わたしがあなたの立場だったらパブリックヘルスに電話して、どこで2歳の子に注射できるかを聞いてみるわね。」今あるワクチンが4歳以下に使えないならば、来週の頭にも入荷されるというワクチンは、小さい子でも大丈夫なの?と問うと「だめ、使えないのよ」という返事。え〜、受け付け嬢はそんなこと言っていなかったけど?「彼女も知らなかったのよ。」ブー、もう訳がわかんない!
 看護師さん自身も納得がいかないという感じで、権限をもっていそうな人のオフィスに入っていった。何をどう交渉したのだろうか、再びわたしたちのいる部屋に戻ってきたときには、今あるワクチンをグイに注射してもいいことになった。
 上腕に注射したティラノ、スコミムスと違い、グイは細い針で、大腿の筋肉に注射することになった。ズボンを脱がせて正面をむかせ、わたしの太ももの間にグイをはさみこんだ。看護師さんも小さい子に注射するのは愉快な仕事ではないのだろう、ダーツをやるときのように狙いをつける手元も表情も緊張感がただよっていた。わたしはその様子に気をとられてしまったのか、それともその押え方が初めてだったせいか、グイを挟み込む力が十分ではなかったようだ。グイが目の前に注射針が迫ってくるのを正面から見ていて、プスっと痛みが走った瞬間に、よけるように足を下のほうへずらした。そうしたら、皮膚に0.5ミリくらい刺さっていた針がそのままひきずられる格好になり、しゅる〜と引っかき傷ができてしまった。グイははげしく泣き出したけれども、苦労して獲得したワクチンを無駄にすることもできず、看護師さんは気合をいれて針を刺しなおし注射を続行した。処置の途中で通常以上の傷をつくってしまったので、傷の程度はひどくないものの、そのままバンドエイドを貼ってサヨナラというわけにも行かないらしく、忙しい医師の手が空いて、傷の様子を見せられるようになるまで待たなくてはならなかった。
 ちょっと出血する程度の引っかき傷であるにもかかわらず、医師はもそもそと処置の指示を看護師さんに出した。看護師さんのほうは、もう申し訳ながってしゅんとした様子で「ごめんなさい。ごめんなさい。」わたしにしてみれば、わたしがもっとしっかりと押えていればよかったのにってなもんで、謝ってもらってはこちらが申し訳ない。「今日してくれたことには感謝のしようがない」と知っているだけの言葉を使って、最上級に親切にしてくれたことの御礼を述べた。なんでも彼女自身、現在5才の孫がいるし、自分の子供も3人だったので、あなたがたいへんだろうと思ったそう。
 長い時間処置室にいて、上の子達は退屈もきわまり、きゃっきゃっとはしゃいでいた。事態の展開がドラマチックなだけでも疲れるのに、子供を黙らせるのにも辟易とした。それでも最後はハッピーエンドになってよかったにゃりん。看護師さん、本当に本当にありがとう!!




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