hiico2005-11-27

 ニューヨークからこちらへ引越して以来ストップしていたバイオリンのレッスン。バイオリンをレンタルしたお店の方から地元のバイオリンの先生を紹介してもらっていたけれども、なんとなく気後れして先生探しを一日延ばしにしてきた。先日、小学1年生のT.K.ちゃんが我が家で鈴木バイオリンで鍛えた腕前を披露してくれたのに刺激を受け、勇気を出して2人の先生と連絡をとってみた。
 今日はイスラエルからいらした男性の先生のレッスンを初めて受けた。大学の教授をされていてお忙しく、手間のかかる生徒はとりたくないとのことで、まだ幼いスコミムスは最初に電話した時点で断られ、ティラノだけはとりあえず弾いてみてくれと言われた。"I would like to see how his basics are."ということだったので、「基礎ができていないからダメ」と断られるような気がして、わたしは先生の顔を見る前からびびった。
 この先生を紹介してくれた人が「レベルの高い生徒を教えている先生なのよ」とちらっと言っていたのが記憶に残っていて、ティラノが他の生徒さんを目標にできるような環境になるといいなと思った。電話で、現在の最年少の生徒が9歳だと話されていた。もしもティラノが門下生になれたら、ほかの生徒さんは全員年上という格好になる。家族の中では最年長の彼は、兄姉弟子からきっとよい影響を受けるだろう。ティラノの年齢が二桁になるのもそう遠くない将来のことで、親以外の同性の指導者を得るのも大事なことだと思う。なんとか受け入れてもらえるといいなと、わたしはビリビリと興奮した。家探しのときに着たお気に入りのブラウスとジャケットで縁起をかついで、母にも空の上から見守ってちょうだいとお願いして、雨の中、ティラノとどういうわけだか落書き帳と鉛筆を持参して一緒に行きたがったスコミムスの三人で先生の御宅へ向かった。グイは昼寝でパパとお留守番。
 ヨラーム先生のレッスンは、わたし自身がかつてお世話になった先生方、それにティラノがお世話になってきた先生方ともとても違うものだった。楽器の構え、右手、左手の使い方を直されるのにも、全部理屈を説明された。「重力って知っているかい。楽器がこういうふうに垂れ下がっていると重力にまけて弓がこういうふうにスライドしてしまうんだ」とか「平行って知っているかい。算数のイコールの記号みたいに、2本の線がどこまで伸ばして行っても絶対に交わらないのが平行だ。駒と弓は平行になるように気をつけて」、「弓をぎゅっと持つ必要はないんだ。弦に乗せていれば、弓に床があるのと同じで下に落ちないから大丈夫。だから親指は他に居場所がないからここにいるだけで、何も仕事をしないんだ。親指の力をぬいて、こう丸くね」といった調子。こういうふうな説明を聞くのはティラノの大好きなスタイルだ。わたしも楽しい授業を聞いているようでワクワクした。後から呑みこめたことだけれども、イスラエルから来た人というのは、ユダヤ人ってことか。音楽家でもああやって頭をつかって分析的なアプローチをするんだなあ、と感心。
 ティラノは鈴木メソッドの教本の2巻の「妖精の踊り」を弾いた。2の指の場所が弦によって変わるために音程がはずれやすくて苦労している曲だ。音程は直らないけれども、ながく弾きこんでいる曲なためか、先生の前では緊張でがちがちになることはなく、練習どおりに弾けた。彼が曲の最後の下降するスケールの部分は音程も音色も気にせずにグジャグジャーと弾くので、わたしはそれが気に入らなかったのだけれども、先生は「おや、君は指がはやく動くんだね」とコメントされた。そうか、バイオリンの超絶技巧とか芸みたいなのってわたしにはとんと縁のない世界なのでわからなかったけれども、ガチャガチャと指が速く動くのもいいことだったのかー。
 Interestingな30分のレッスンが終わった時点で、先生が受け入れてくださるかどうかの感触がつかめずドキドキした。そうしたら・・・。「彼はいろいろな説明を理解しているようだったし、そういう僕のスタイルでよかったら生徒としてきてもらってもいい」と告げられた。わー!よかった!とっても嬉しい!「それには条件があって、まず毎日1時間練習しなくてはならない。僕は自分が持っているもの全てを生徒に注ぎこむつもりだから、生徒の側にもそれなりのコミットメントが必要だ。」うは、1時間は短くないけれども、それだけやればきっと上手になる。がんばろうぜい!
 写真はレッスン後、家に帰ってからのシーン。グイがバイオリンを持っているのを見て、自分が習ってきたように教えてやるティラノ。
 




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