現地校の年度末の週だったので、何やかやと忙しかった。忙しさに特に貢献しているのが、ティラノが参加しているオペラ。卒業生が書いたお話に、本職の音楽家が曲をつけてくれて、4年生と5年生、それに大人の歌手が加わって、舞台での上演となった。身内相手の3回の公演の上に、さらに夏休みに入っている来週の半ばにも、一般公開するというので、先生方も子供たちもかなりのプレッシャーを感じている。かわいそうなティラノくん、オペラのリハーサルと本番が続いている上に、バイオリンの発表会も昨日だったので(しかも補習校の後)、緊張の糸が張り詰めっぱなしだった。

さらに、せっかく発表会が終わって周りの子供は夏休みだというのに、週明けからティラノだけ、音楽のサマーキャンプが追い討ちをかける。バイオリンを習っているヨーラム先生が仲間の音楽家と一緒に開く講習会で、朝9時から午後4時まで、オーケストラ、アンサンブル、理論のお勉強をする。「一日6時間のバイオリンを5日間だなんて!お母さん、どうして勝手に申し込んだの!」とティラノ君は憤慨した様子。先生から事前に楽譜が配布されたので、発表会が済んで時間のできた今日は、4曲の予習で大忙し。プレッシャーと不安と疲れがピークに達した午後の時間帯、ティラノはとうとう泣き出した。シクシク、シクシク・・・。10分も20分も、悲しくてたまらない、という感じで、ずーーーっと泣き続けた。先生が発表会の直後ではなく、一週間後にでもキャンプを設定してくれればもう少し楽だったのに、とも思うけど、会場の確保など、先生は先生で大変なのだろう。でもねー、たったの10才の小さな胸にはかかえきれないストレスだったのだろうね。

お兄ちゃんがマジで泣いているのなんて滅多に見ることがないので、妹たちは珍しがった。グイなんて、「ティラちゃんはバヨリンひいたから、ないちゃったの」と本人の目の前で容赦ない。かわいそうだけど、赤ちゃんのティラノに戻ったみたいで、お母さんもちょっぴりうれしかったりして。だって素直に泣いててかわいかったんだもん。

夕食に好物の韓国風焼肉を食べて復活したティラノ、お父さんと一緒に明日からのキャンプに備えて、またバイオリンをひとしきり弾いた。ちょっと不安でやだなーとは思っても、少し弾けるようになった曲は好きになって楽しめている様子。大変だろうけれども、一週間後には一回り成長したティラノになっていることだろう。