ティラノの放課後は、担任のミセス・ダニカンと個人面談の続き(あー、なんて長い一日なんだ)。2時間もの長い時間をかけて、ティラノがもっと一生懸命課題に取り組むように、お説教アンド話し合い。
 「前に二人で話し合ったときがあったでしょう。あの時あなたはどんな風に感じたの?役に立ったと思う?」と聞かれてティラノは「はい」とおりこうな返事。「どんな風に感じたか、もっと自分の言葉で聞かせて」と言われると、「えーーーー、あーーーーー」とうなるばかりで、ティラノは答えられなかった。最初は消極的な反抗だと受け取っていたミセス・ダニカンも、だんだん、この子は言おうと思っても、つっこんだ話は英語で表現できないのかもしれないという考えに行き当たったよう。そんなの、わたしからすると当たり前なんだけど、先生はそんなにもティラノにほかのアメリカ人の子と同等のものを求めていたのかと、ちょっと驚き。
 いろいろな余談をはさみながらも、”必ずしも楽しくなかったり、いやだったりする作業でも、大人の目からみてそれは必要な学習、訓練なのだから、それに前向きに取り組むのがあなたの仕事。一生懸命やったら、自分に誇りをもてるし、とてもいい気分なんだ。そうしたら、ゆっくりとリラックスする時間を持ってもよい”ということを、先生は繰り返し言って聞かせた。話合いの終わりには、ティラノは前向きな明るい子みたいに振舞っていた。
 教室を出たとたん、「もう、あんなに長い話でやだった!あんまり長いからぼくが宿題やる時間がへっちゃったじゃないかー!」と横暴な態度。さっきのおりこうさんはどこへ行っちゃったの〜?
 でも、大人二人から二時間もこっていりとしぼられたのだから、ちょっと吠えていても大目にみてやるか。この子の短気につきあってわたしも逆上するのが失敗のもとなので、その手には乗らないように気をつけなくちゃ。親が一環した態度で接すると、子供も甘ったれたことができなくなるはず。