6/29のつづき

 バーガーキングで食事を調達するのに、長い列に並んで15分か20分くらいかかった。それからポテトを食べながら予約できたホテルのシャトルバスが到着するまでにたっぷり20、30分は待った。とうとう見慣れない名前のホテルのシャトルバスがやってきた。有名どころのホテルのバスと違ってちょっと地味な感じのバスで、しかも相手の正体も知らずに急場しのぎにとったホテルだったので、どんな部屋に寝ることになるのか不安だったけれども、ともかく家族で安心して横になれる場所が確保できてよかった。似たような名前のホテルがいくつかあったので、ちゃんと該当のホテルのバスなのかどうか、確認、確認。これで違うバスに乗っちゃったなんて、笑えないモンね。
 ホテルに到着してみたら、まともなホテルというか、むしろゴージャスな感じのエントランス。とびこみなのに、こんなきれいなところをとってくれて、トリケラでかした!
 他にもシャトルバスに同乗したお客がたくさんいて、トリケラはチェックインの列の最後に並んだ。わたしと子供たちは、ソファに腰をおろした。も〜う、くたくただ。・・・あれあれ?受け付けの女性と話しているトリケラの様子が変。「ここのホテルは満室で、わたしたちの部屋はない」そうだ。ぎょぎょぎょー!?「あれー、ぼく、ホテルの名前、間違えちゃったのかな〜。」この状況下でそんなことが起こり得るのだろうか?呆れて言葉がでない。
 受け付けの女性たちは予約客でないトリケラをゴミのように扱う。「あんた、あっちの○○ホテルと間違えちゃったんじゃないの?」といくつか電話番号をリストアップしてくれたけれども、どこも違うよう。トリケラは困り果てて右往左往。なんとか手立てはないかと話し掛けると、別の女性は吐き捨てるように"What's the matter with you?"と、一言も喋りたくない様子。電話でどうにかしようとしてもうまくいかないし、トリケラはやぶれかぶれで隣接するホテルに直接かけあってみた。でもそれもだめだった。トリケラは「・・・だめだって」、「・・・違うって」とわたしに状況を説明しに戻ってくるんだけれども、わたしだってお手上げだ。どの時点でそう言ったかは記憶が定かではないけれども、「だめ、って言ってくれたって・・・。あなたがこの家族をアメリカに連れてきているんでしょう!あなたがどうにかしてちょうだいよ!」トリケラの夢を追うためにアメリカに住んでいるんだ、あたしゃー日本に帰りたいんだ、というのは常日頃言っていることで、なんら珍しいことでも何でもないけれども、あの状況で、ああいう風に妻がブチ切れてしまって、トリケラは「奈落の底に転落〜」という心境だったことだろう。ごめんね。妻に見捨てられて、トリケラは一人で雄々しく事態にタックルしつづけた。
 でも、待てども待てども事態に進展なし。そのホテルの玄関に置かれているソファーでスコミムスが眠り、トリケラも長男らしい緊張感を持っていつでも移動できるように備えてはいたけれども、そのがんばりも限界近し。かわいそうな子供たち。グイはとっくにだっこ帯の中で熟睡(ずっとぶら下げていたので重かった)。部屋に通してはくれないけれども、グダグダになって眠りに入りそうなわたしたちを、受け付けの人たちは追い出すつもりはないようなので、ここならきれいだし安全だからいいかと、わたしはその場で夜を明かす覚悟をしていた。空港のベンチよりはよっぽどましだよね。
 そこへ情報収集に出ていたトリケラが戻ってきた。「すぐ荷物を持って出てきて。空港へ戻る(ほかのホテルの)シャトルバスがあるからそれに乗せてもらうことにした。」もう一度ホテルの情報コーナーに戻って、また電話かけまくり作戦をやるしかないというわけだ。もう日付がかわる頃だ。長い一日だなー。朝、コールドスプリングハーバーを発って、美術鑑賞して、ラガーディア空港へ行って、ニューアーク空港へ移動して、間違ったホテルに来ちゃって・・・。しかもまだ終わらない。バーガーキングハンバーガーは、もう冷めてぺしゃんこ。食べる元気が残っている人はいない。荷物が増えてかえってじゃまなだけだ。
(つづく)
 
 




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