ティラノがこの秋から参加するようになったユース・オーケストラの練習日。休憩時間に保護者のボランティアが持ちまわりで、スナックを提供することになっている。成り行きでわたしが今日の当番。23人分のおやつを用意する任務に緊張しまくり。オケの中心はティーンエージャー。どれくらいの食べ物を消費するのか、わたしが用意したものに彼らがどう反応するのかとドキドキ。終わってみれば、一人だけいるポッチャリ目の男の子が「なんだ、このスナックは」と文句を言った以外は、淡々としたものだった。大変だったけど、後から頼み込まれていやいや引き受けるよりはよかったかな。

10月4日に一日がかりでテストを受け、その結果スコミムスにADHDの診断が下った。通常は10万円くらいかかるらしいこの診断テスト、デューク大学ADHDセンターでのリサーチの被験者として受けたので無料。このリサーチは、初めてADHDの診断を受けた小学3年から5年の子供で、オーガナイズ(整理整頓とかタイムマネジメント)スキルに問題がある場合に参加できる。スコミムスは次の火曜日からサイコロジストから直接、整理整頓、スケジュール管理、忘れ物やなくし物をなくすための実質的なトレーニングを受ける。スコミムスのトレーニングを管理する立場のわたし自身にADHDがあるので、どこまで成果があげられるか疑問だけど、ともかくスコミムス本人はやる気満々なのであった。

[ADD}

最低量の処方で様子を見ていた最初の3日間、ひどい副作用はなく、それでいて薬の効果が自分にはわかる、という感じだった。でも頭の中で、たとえば沸騰したお湯の中からフツフツと空気がわいてくるように、いろいろなアイデアがパパパーっと起こって交通整理ができていない状態もまだまだ残った。ADDのない人は、パパパーっというひらめきを瞬時にふるいにかけて、合理的な優先順位をつけられるのだろうな、と思うと、自分はまだそのレベルには達していないと感じた。


それで服薬4日目にして、今まで1錠だった薬を2錠服用。これが失敗で、心理的な弊害はないものの、体には結構な負担だった。家族がまだ寝ている朝一番に、ここのところずっと取り組んでいたDIY(断熱効果のあるフィルムを窓にはる)ではしごを上る作業をしていたら、頭がフラフラに。これは変だと思って横になっていたら静まった。でもごく日常的な動作も、呼吸さえも、まるで冬眠中のようにスローダウン。自分だけスローモーションボタンを押されたようで、「あ〜、う〜ご〜け〜な〜い〜。」昼頃には口の中のただれに気づいて、ショック。薬は一旦のんでしまったら、後から体内から抽出するってことができないのよねー。


明日は来客があるのに、なにも準備できないなー。でも過去3日間の薬の効果で、家の中は以前ほど散らかっていない。来客の前日に「これならなんとかなるな」と思えるなんて初めて。

グイ

昼寝をたっぷりしてしまったので、夜寝付けなくなってしまったグイ。突然、
「ねえ、あたしたち、ハムスターになることにきめたんでしょ。」
「きめたんだけど、ハムスターになりたいの。ムキューって。」

もう一つ、びよさんからの話題。びよ家も我が家と同じチャペルヒルに一戸建てのお家を買われたので、家のデコレーション、ペンキ塗り、修繕などの相談にも乗ってくださる。先日の「おかあさん飲み会」でのこと、ふと電気代のことが話題になり、エネルギー全部を電気に頼っているびよ家よりも、食器洗い、洗濯、風呂の温水はガスを使用している我が家のほうが、2倍も払っていることが判明。この休み中、わたしは窓に断熱フィルムをはる作業を一生懸命したし、洗濯もほとんど外で自然乾燥。結構努力しているので、びよ家と比較するまでは、そんなに電気代は高くないのだと勝手に思い込んでいた。うちの冷蔵庫が10年以上前の古いものであるのに対して、びよさんのは買ったばかりの新品。「あれ〜、うちは何がいけないのかなぁ。冷蔵庫かなあ」というと、びよさんのご意見では、冷蔵庫以上に、冷房の効率のほうが問題かもとのこと。確かに。びよ家のエアコンは冷蔵庫と同じで、お引越し時に設置されたばかりの新品。うちのは、メーカーとか製造番号とかが薄れて読み取れないほど古くなった30年選手。作動するとゴーゴーとものすごい音を立てる。少し前なら、壊れてもいないのにエアコンを新しく買うのはどうかと思ったところだけれども、これだけ効率が悪いのだと、我が家の家計と昨今のエネルギー問題を勘案すると、完全に買い換え時。セントラルクーリングのシステム全体を新しく設置されたびよさんのところでは、費用はざっと100万円ほどだったそう、ウゲッ・・・。うちの場合はダクト、通風孔などは既存のものが使えるので、必要なのは空気を冷やす機械の部分だけ。まず手始めに、機械の値段の相場を調べようとしても、なかなかネットで答えが見つからない。機械のメーカーのページでは価格は明示されておらず、設置業者のほうでも同じ。トリケラは「一般的に5000ドルくらいだと聞く」という。今年はすでに外壁のペンキ塗りでお金を使ってしまったので、これは来年に先送りかなぁ。それとも季節はずれになったら、バーゲンでもあるかしらん?


*写真は、昨日の日記で紹介した写真の中で、子供たちがビニール袋にぶらさげている金魚すくいで獲得した5尾のうち、最後に生き残った金魚(ふな?)のシャーロットちゃんの在りし日の姿。

hiico2007-08-18

ちょこちょことコメントを残してくださるびよさん。ご主人は学部は違うけれども、トリケラと同じ大学の助教授。びよさんとわたしはいわば”科学者のオヨメサン”仲間。偶然、年齢も一緒。音大卒のビオラ奏者で、ティラノ、スコミムスのバイオリンの先生、ヨーラムが夏休みで不在の間、代わりにレッスンをしてくださっている。そして、兄姉と一緒だったらグイもレッスンする環境に慣れやすいだろうという考えで、グイもついに真面目なバイオリンデビュー。スズキのキラキラ星変奏曲の導入として、”こぎつねコンコン、うさぎはピョンピョン”というリズムを弾くのが今週の課題。キツネをA線で、ウサギをE線で弾くと、もうキラキラ星に聞こえるので、「もうそんなに弾けるの?」とトリケラ大感激。びよさん、教えるの、超上手!!ティラノのこの夏の課題は音程とビブラートと音質の改善。びよさんが日本人らしい精密さ、丁寧さ、そして絶対に譲らないという感じの厳しさで鍛えてくださるので、(少なくともレッスン中は)ティラノは以前よりもずっと雑音が少なくテンポも落ち着いた演奏をするようになった。スコミムスも「あたし、びよ先生のレッスンのほうが好き!ヨーラムは何いってんのかわかんないんだもん」と嬉しそう。確かにスコミムスはヨーラムのレッスン中、注意がそれて目線が宙を浮いていることがよくあるけれども、びよ先生のレッスンでは、先生のアドバイスが素直に飲み込めているようである。ああ、こののんびりアットホームな夏休みもあとわずか、寂しいなぁ。

昨日、2ヶ月ぶりに精神科医の診察。Depressionの状態が落ち着いているとの判断で、ADDをどうしようかという問題にステップアップ。わたしのほうは素人に可能な範囲で予習はしてあり、ADDの治療を始めようという話が出なかったら、自分からお薬をおねだりしようと思っていた。担当のペリルスティーン先生は、患者にはあまりまともな予備知識がなく、且つ先入観は持っているという前提で、投薬治療を始めることに対する患者(わたし)の抵抗を予期しつつ、ゆっくりと話を始めた。「ADDに関しては、有効な治療法は、専門家の間で一つだけ圧倒的に支持されているものがあるんだけど・・・」と先生。わたしはその・・・の続きがあるのだと思って、耳をダンボにしてじっと待った。先生のほうは、わたしに「それはなーんだ」という質問を投げかけたつもりだったよう。「だから、何だと思うかって尋ねているんだけどー」と先生。わたし、「(もちろん)medicationでしょ。」一瞬、ドーパミンじゃなくて、リタリンじゃなくって、えーっと何をいえばいいのだろうかと迷っちゃったよ。なおも先生がおそるおそる話をするので、まだろっこしいから「先生、わたしは先生のそこの本棚に置かれている"Healing ADHD"とか"Delivered from Distraction"を読んでいて、自分はADDだということには確信を持っていて、何とかするためには薬の助けが必要だってことはわかってます。今日は自分から頼んで薬を出してもらうつもりで来ました」と説明した。それなら話がはやいってんで先生は安堵の表情。VYVANSEを処方された。

さて、今日、VYVANSEの服用初日。気のせいかもしれないけど、普段なら”気になるけど面倒だから後回しにしーちゃお”と思うことに、スッスと取り組めるように思う。うん、家の中が(お客さんでもないのに)微妙にきれいかも。長ーいはしごを登るのに躊躇していた高所の窓掃除もついに達成。実はこれ、子供向けに作られた薬で、しかも最小限度の処方なんだけれども、初日にしてしっかり効果を感じた。ちなみに肉体労働の後で疲れているし、目もしょぼしょぼしているのに、今現在、眠りに落ちるのに苦労している。副作用もばっちりじゃーん。